高齢者の脱水症状
脱水症状とは
脱水症状とは体内の水分量が不足している状態です。
成人の体は約60%が水分です。新生児では約80%、高齢者では約50~55%になります。
身体から汗や尿、呼吸などで排出された水分を補わなければ、体内の水分量とイオンバランスが崩れ脱水症状が現れます。
1日に必要な水分摂取量は成人で2.5リットルです。
高齢者では体重1Kgあたり約40ml、体重50Kgの方で約2リットルの水分摂取が必要になります。
高齢者の脱水症状
高齢者は体内の水分量が減少しています。体温調節や喉の渇きなども感じにくくなっています。気が付かないうちに、いつのまにか脱水状態になっている可能性があります。
高齢者の注意点
〇夜間のトイレ、粗相に対する不安
水分補給をするとトイレに間に合わず粗相をしてしまう、夜間トイレの回数が増えるので水分をとらないようにするなど。
呼吸や汗などからも体内の水分は出ていきます。トイレにいかないように、水分補給をしないことは危険です。
〇クーラーや暖房機器の使用
夏場にクーラーを使用したくない、冬場に1日中暖房をかけているなど。
高齢者では体温調節機能がうまく作用しない場合もあり、暑い部屋にいながらあまり暑さを感じない場合があります。
部屋の快適な温度は一般的に、夏場は温度が25~28度で湿度は45~60%、冬場は温度が18~22度で湿度は55~65%です。
極端に部屋の温度が高く、水分補給もあまりしないという方は要注意です。
〇喉の渇きを感じない
加齢とともに喉の渇きの感じかたが鈍くなってきます。
喉の渇きを感じないので、水分はいらないとおっしゃる方も少なくありません。
喉の渇きを感じなくても水分の補給は重要です。こまめな水分補給を心がけましょう。
〇薬の副作用
薬の中には利尿作用のある薬もあります。
薬の作用についてはよく説明を受け、利尿作用のある薬を服用している場合は、水分摂取を意識しましょう。
高齢者の脱水症状のサイン
〇初期症状
頭痛、体のだるさ、ふらつき、食欲がない、喉の渇きなど
〇中度症状 吐き気、めまい、強い喉の渇き、濃い尿が出る、皮膚の弾力性が低下する、脈拍が弱くなる、低血圧など
〇重症 ショック状態、血圧低下、体温の上昇・低下、けいれん、昏睡、死亡
脱水が引き金になる病気
脱水により血液が濃縮することで、脳こうそくや心筋梗塞が引き起こされる場合もあります。
脱水症状予防
脱水症を予防するにはこまめな水分補給、室内の温度・湿度の管理が重要になります。
本人が気がつかない、忘れてしまう場合も多いので、ご家族や友人、ヘルパーなど周囲の人が声掛けをするのが大切です。
水だけでなく、好きな飲み物、フルーツやゼリーなども水分補給になりますので水分補給が苦痛にならないように、好きなもので水分補給をしましょう。
室内の温度管理も同様に、声掛けや定期的な確認が必要でしょう。
ひろみのひとこと
一人暮らしの高齢者はとくに脱水症状に注意が必要です。たかが脱水と思われる方もいるかもしれませんが、命の危険もある重大な症状です。
周囲の人のサポートが大切になってきますので、ご本人はもちろん、ご家族や友人などにも脱水に対する意識をしていただければと思います。
脱水の症状と思われた場合は、時間がたてば治ると思わずに医療機関を受診しましょう。