老年症候群について
加齢にともなう体の変化
人間は加齢に伴い体の機能が低下していきます。これはどんな人間にも必ずおこる現象です。
加齢に伴いおこる体の変化がさまざまな病態へと変化していきます。
食事をとらないなどの低栄養、痛みによる運動不足、外に出外しないなど活動量の低下などにより病気にかかりやすい体になっていきます。
老年症候群
加齢による心身の衰えによって生じる、身体的・精神的症状の総称であり、予防、医療・介護が統合的に提供される必要がある状態です。
老年症候群は主に3つに分類されます。
〇主に急性期疾患に伴う症候 めまい・呼吸困難・頭痛・腹痛・意識障害・不眠・転倒・骨折・下痢・肥満・睡眠時呼吸障害
〇主に慢性期疾患に伴う症候 認知障害・視力低下・言語障害・関節変形・関節痛・腰痛・喀痰・咳嗽・喘鳴・食欲不振・悪心・嘔吐・便秘・体重減少・浮腫・脱水・発熱・麻痺・しびれ・息切れ
〇介護を要する症候 ADL低下・骨粗鬆症・椎体骨折・筋委縮・尿失禁・頻尿・せん妄・うつ・意欲低下・褥瘡・難聴・貧血・低栄養・嚥下困難・胸痛・不整脈
フレイル(虚弱)
フレイルとは、高齢期に生理的予備機能が低下することでストレスに対する脆弱性が亢進し、生活機能障害、要介護状態、死亡などの転帰に陥りやすい状態で、筋力低下により動作の俊敏性が失われて転倒しやすくなるような身体的問題のみならず、認知機能障害やうつなどの精神・心理的問題、独居や経済的困窮などの社会的問題を含む概念である。
フレイルの状態になると健常な人よりも死亡率やADLの低下率が高くなり、疾病治療での合併症の発症率が高くなります。
フレイルの定義
〇体重減少 意図しない年間4.5kgまたは5%以上の体重減少
〇疲れやすさの自覚 何をするのも面倒、何かをはじめることができないと週 に3~4日以上感じる。
〇活動量の低下 1週間の活動量が男性:383Kcal、女性:270Kcal未満
〇歩行速度の低下 標準より20%以上の低下
〇筋力低下 標準より20%以上の低下
サルコペニア
加齢と共に骨格筋量及び骨格筋力が低下しサルコペニアという状態を呈します。
サルコペニアは老年症候群の一部であり、身体能力の低下を伴います。
70歳以下の高齢者の13~24%、80歳以上では50%以上に、サルコペニアを認めるという報告もあります。
サルコペニアの定義
〇筋肉量の減少
〇筋力低下
〇身体動作の低下
のうち、〇筋肉量+〇筋力低下または、〇筋肉量+〇身体動作の低下の場合に診断されます。
ロコモティブ症候群
ロコモティブシンドロームとは、※運動器の障害のために要介護状態や要介護になる危険性の高い状態を示す症候群で、日本整形外科学会が提唱したものです。
※運動器とは骨、筋肉、関節、神経の総称です。
運動器の障害には運動器疾患と、加齢による運動器の機能不全があります。
運動器の疾患としては、変形性膝関節症、骨粗鬆症による脊柱の変形や易骨折性、脊柱管狭窄症、慢性関節リウマチによる関節の変形があります。
加齢による機能不全としては、筋力や持久力の低下や平衡感覚や反射神経の衰え等が含まれます。
ロコモティブシンドロームは、このような運動器の機能障害を中心として起きてくる生活障害をひとくくりとして表現した症候群であり、老年症候群の一部です。
以下の7項目のうち1つでも該当すればロコモティブシンドロームの可能性があります。
〇片足立ちで靴下がはけない
〇家の中でつまずいたり滑ったりする
〇横断歩道を青信号で渡り切れない
〇階段を上がるのに手すりが必要である
〇15分くらい続けて歩けない
〇2Kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難
〇家の中のやや重い仕事が困難
高齢者の疾病の特徴
高齢者の疾病では、複数の疾患を併せ持つ方が多くいます。
高血圧、糖尿病、心疾患、骨粗鬆症、脳血管疾患、認知症などの疾患から老年症候群の症状をきたし、その結果なんらかの疾患の発症につながる可能性が高くなります。
その結果「生活機能の低下」「意欲低下」につながる負の連鎖に陥ります。
そのような状態になる前に「そうならないためになにができるか」を考えていきましょう。
ひろみのひとこと
現在介護予防という考え方が広まってきました。要介護状態になる前に、病気になる前に予防をしていく。そのためには運動や食事、生活習慣の見直しをおこないながら今できることをやっていくことが大事になってくると思います。家族に迷惑をかけたくない、自分のことは自分でやる、自分の足で歩く。そのような方が年々増えています。もう遅いということはありません、今からできる事を探していきましょう。